父から相続した不動産(共有)売却の落とし穴

こんにちは。弁護士の小池智康です。

南越谷を拠点として、さいたま市、川口市、草加市、八潮市、越谷市、春日部市等の地域に密着した情報を発信することを目的としたこのコラムですが、第2回目のテーマは不動産売却と弁護士の役割についてです。

 

1、ことの発端

 今回の相談者は、お父さんの遺産を兄と妹(相談者)で相続し、共有(各1/2・登記済)していた不動産(以下「本件不動産」といいます)の売却に関する相談で弊所にいらっしゃいました。

 相談者が不動産の売却を考えた切っ掛けは、兄から借金の返済のために本件不動産に抵当権を設定して銀行から借り入れをしたいので相談者の持分にも抵当権を設定させてほしいとの打診があったことでした。

 相談者としては、自分の持分に抵当権を設定することで何か不利益があるのではないかということが気になったようです。そこで、抵当権を設定するくらいならいっそのこと共有になっている不動産を売却してしまおうと考えたという経緯がありました。

 相談者が当事務所にお越しになった時には、兄側で不動産の仲介業者に売却を依頼し、買い受け候補者が複数いる状態でした。また、本件不動産とは別の兄の所有不動産に関する競売手続が進行しており、兄は本件不動産を売却した代金で債務を返済し、この競売手続を取り下げてもらうことを意図していたため、本件不動産を売却する場合には、相談日からから決済までの時間が10日程度という状態でした。

2、相談者が心配していたこと

 私がお話しを聞いた際に、相談者の方は次の点を特に心配されていました。

①兄は借金の返済のために本件不動産を売却しようとしているが、兄と一緒に本件不動産を売却することで自分が何か不利益を受けることはないか。

②不動産売買の手続に慣れていないためどう対応していいかわからない。

③売買契約書の意味を正確に理解できるか、変更が必要な場合、自分の意図を契約書に反映させることができるかが不安だ。

更に、相談者の方の話しぶりからは、兄が先行して本件不動産の売却をすすめ、仲介業者も兄が独断で決めてしまったことに対する不信感があるようでした。

 

3、問題点とその対処法

 依頼者の方が心配されていたことのうち、①と③は本件不動産の売買に関する法律関係がどのようなものであり、どのようなリスクがあり、それにどう対処すればいいかという問題です。②は、不動産売買の手続的な側面にどう対応するかという問題です。

 上記①~③の何れについても弁護士が対応可能な問題ですので、依頼者の方に弁護士が代理人として契約締結に関する交渉から代金決済までのすべての過程に弁護士が関与することを提案し、委任を受けました。

 受任後、仲介業者に連絡をいれて、事前に契約書案を提示してもらい、検討したところ、一つ大きな問題点が存在することがわかりました。仲介業者から示された契約書案では、本件不動産に瑕疵があることが理由で契約が解除された場合、買主への代金の返還義務が買主の連帯債務とされていたのです。つまり、今回のケースでは依頼者とその兄が各自全額の返還義務を負うということになります。

この条項はこのケースではなかなか厳しい条項だといえます。というのも、依頼者の兄は競売を取り下げてもらうために本件不動産を売るのですから、万が一本件不動産に瑕疵があって契約が解除されたときには兄が受領した本件不動産の売買代金(正確には持分2分の1)は手元にありません。そうすると、買主は、売買代金全額の返還を相談者に請求することになります。相談者は、本件不動産の売買代金の半額しか受領していないにもかかわらず、全額の返還を余儀なくされるということになります。

そこで、この条項については、その危険性を相談者の方に説明し、弁護士が交渉して問題が生じない内容に変更しました。

また、相談者の方が抱いていた兄及び仲介業者に対する不信感も弁護士が兄や仲介業者に事情を確認するなどして相談者の誤解を解消していきました。

なお、今回の事例ではありませんが、仲介業者によっては、事前に契約書案を提示せず、契約締結当日に契約書案を持参して署名・押印を求めることがあります。契約締結の直前に説明を受けても充分な検討ができませんので、必ず事前に契約書案の提示を受けて充分に検討することを心がけてください。

4、おわりに

 この事案は、契約条件の交渉、契約締結、代金決済の打ち合わせ、代金決済という一連の取引過程すべてに弁護士が代理人として関与することになりました。

 これにより、不利な契約条項を変更することで法的なリスクを回避でき、また、依頼者の方が不慣れな手続を安心して進めることができたとの評価をいただきました。

 一般の方が不動産取引をすることは一生にそう何度もありません。法律的なリスクを回避して、不動産取引を安全に行うために弁護士に依頼するという選択肢があることを知っていただきたいと思います。

 

 

 

弁護士 小池智康

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