所長インタビュー

目次

  1. 事務所理念について
  2. 法律相談について
  3. 弁護士法人Boleroの特徴について
  4. 弁護士法人Boleroの相続案件に関する取り組みについて
  5. 相続に関する取扱業務について
  6. 不動産取引について
  7. 債務整理について
  8. 会社の再生・承継・倒産について

1、事務所理念について

弁護士法人Boleroが、「お客様の話に真摯に耳を傾けます」、「客観的な視点で問題を解決します」、「他士業と連携して複合的なサービスを提供します」との理念を掲げている理由を教えてください。

当事務所が「お客様の話に真摯に耳を傾けます」、「客観的な視点で問題を解決します」、「他士業と連携して複合的なサービスを提供します」との理念を掲げているのは、弁護士が質の高いサービスを提供するためにこれらの理念として掲げた事項が最も重要だからです。

お客様が法律事務所に相談をする理由は様々です。そして、自分が抱えている問題の原因が何なのか、ということが分からないお客様も多くいらっしゃいます。例えば、離婚したいとの相談でいらしたお客様のお話を聞いていくと問題の本質は借金であることが判明することがあります。また、問題解決の基準として金銭の額以外にも重視している事柄があり、この点を踏まえた解決でないと問題の本質的解決にならないということもあります。

法律的な判断だけをするのであれば、法律の要件に関連する事情を確認すれば十分ですので、それ以外の事情の聴取は省略すれば効率よく案件を処理できます。しかし、お客様の問題の本質的解決をするには、「お客様の話に真摯に耳を傾ける」ことが必要だと考えます。

次に、弁護士は、証拠を収集して事実を確認し、これらを前提に事件の見通しを立てます。弁護士が扱う紛争には必ず相手方がおりますので、自己の依頼者側の視点のみで事件の見通し立てると、相手方の思わぬ反論を受けて、見通しが甘かったという自体になりかねません。また、裁判になった場合、結論を出すのは第三者である裁判所ですので、裁判での見通しを立てるには、第三者の裁判所の視点、すなわち、「客観的な視点」で事件を見るということが必要です。

更に、法律事務所に持ち込まれる案件は必ずしも弁護士だけで対応が可能な案件ばかりではありません。例えば、相続の案件は常に相続税との関係を意識しなければなりません。弁護士の立場から提示した解決案が税金との関係では不利な結論になることがあります。共有不動産の分割をする際にも不用意な分割をしたために贈与税が課されるケースもあります。実際に生じている問題は、各士業の取扱分野ごとにわかれているわけではなく、一つの問題が複数の士業の関与を必要としているということが通常です。そして、このような案件を解決するには、「他士業と連携して複合的なサービスを提供する」ことがどうしても必要になります。

当事務所は、より質の高いサービスを提供するたえ、以上の理念を踏まえて案件の処理にあたっています。

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2、法律相談について

弁護士法人Boleroは、無料法律相談などのメニューが用意されていますが、これはどういった理由からでしょうか。

お客様が弁護士に相談しやすくすることで問題が大きくなる前に対処していただきたいという理由から無料法律相談等のメニューを用意しています。

当事務所は、無料法律相談(60 分・初回のみ)を実施しており、ご相談いただければ土日・時間外にも対応させていただいております。例えば、東京都内で会社員をされている方が平日の昼間の時間帯に法律相談をするには会社を休むなどの対応が必要になってしまいます。

既に裁判を起こされている、相続が発生しているなどの緊急性のある事案であれば、休みをとるということも可能でしょうが、それほど緊急性が高くない事案で休みをとってまで法律相談にお越しになるかたというのは希です。しかし、問題は早い段階で対処した方が有効に対処できることが多いのも事実です。そこで、当事務所は、お客様に無理なくご相談いただけるように時間外での対応についてもご相談を受け付けております。また、金銭面でもお客様の負担を減らすため、無料法律相談を実施しております。

問題には早期に対処するのが一番です。お気軽に無料法律相談をご利用下さい。

弁護士法人Boleroでは、法律相談の方法として、通常の面談の他に、電話、メール、LINEなどが用意されていますが、これらの相談方法はどのように使い分ければいのでしょうか?

法律相談を希望される方でも、いきなり事務所を訪問して面談ということではなく、まずは簡単に話を聞いてみたいという方もいらっしゃいます。実際、事務所にお越しいただいて法律相談を行っても30分かからずに問題が解決してしまうこともあります。

そこで、面談よりも簡単な手続で法律相談ができるように電話、メール、LINEで相談を実施しています。電話、メール、LINEでの法律相談は、相談者が使いやすい方法を選択していただいております。

なお、相談を担当する弁護士は、裁判期日や打合せ等で離席しており、折り返し連絡になることがあります。日中電話にでることが難しいかたは、メール又はLINEを利用していただけると助かります。

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3、弁護士法人Boleroの特徴について

弁護士法人Boleroの特徴を教えてもらえますか?

弁護士法人Boleroは相続案件に特化した法律事務所であるということが最大の特徴です。弁護士法人Boleroの前進である南越谷法律事務所は、平成24年6月1日に設立されましたが、設立当初は、相続、不動産、個人の債務整理、法人の破産・再生を主要な業務としていました。

その後、徐々に相続案件の取扱いが多くなり、現在では90%以上が相続案件という状況です(平成31年2月時点)。

弁護士法人としての体制などで特徴はありますか?

法人の体制としては、浦和と越谷に事務所を設置し、より近場で相談しやすい体制としています。

弁護士に本格的に相談をする場合、実際に委任した場合、基本的には、弁護士の事務所で相談・打合せを行う必要があります。もっとも、やや距離のある場所の事務所を訪問するとなると、時間が取りにくいなどの理由で相談・打合せが先延ばしになってしまいます。やはり、相談者・依頼者の方の生活圏で気軽に負担なく相談・打合せができる場所に事務所があるということは非常に大切です。

そこで、埼玉県中央部の相談者・依頼者については浦和、東部地域の相談者・依頼者には越谷で対応できるよう、浦和・越谷の2拠点で対応しております。

案件の処理に関して特徴はありますか?

相続案件を扱う弁護士であれば、誰でも言っていることかもしれませんが、他の士業との連携を重視している点が案件処理の特徴と言えます。

相続案件では、法律問題を解決する最終局面で不動産の登記が必要になりますので案件の処理過程で司法書士とコミュニケーションをとり、確実に登記可能な処理方法を確認しておくことが必要です。

また、相続案件では、相続税・譲渡所得税の問題がでてきます。課税関係を踏まえずに具体的な処理方針を決めてしまうと、途中で課税関係との調整で処理方針を変更する等の対応が必要となり、混乱をきたしてしまいます。
相続案件は解決まで長期間に及ぶことが多いため、処理方針が大きくぶれると更に長期化してしまいます。

確実な案件処理のためには、他士業との連携は不可欠です。

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4、弁護士法人Boleroの相続案件に対する取り組みについて

弁護士法人Boleroは相続案件に特化しているとのことですが、どのような経緯で相続案件に特化することになったのでしょうか?

一番大きな理由は、やはり世の中で相続案件の件数が増えているという点があると思います。現在の人口構成からみると相続件数は増加傾向にあるため、弁護士が取扱う相続案件も増加しているものと思われます。

また、相続に関する世の中の意識が変わってきたことも、相続案件が増加した理由だと考えています。

「相続に関する世の中の意識が変わってきた」とはどのようなことでしょうか?

戦後の民法改正により、家督相続は制度としては廃止されましたが、家督相続という制度の下で生活してきた人々の意識は急には変りませんでした。そのため、民法改正により家督相続が廃止された後も、依然として長男が遺産の大半を相続することが相続人の合意により行われていました。そして、このような実質的な家督相続は、長男が両親や祖父母と同居して実家を守り、長男の兄弟も実家との関係を保ちつつ近所で生活をするという社会の状況のもとでは一定の合理性があるものとして、支持されていました。

ところが、徐々に社会構造が変化し、核家族化がすすむと、実質的に家督相続を行うことにより護るべき実家という存在が徐々に希薄化してきました。このような状況では、長男が遺産の大半を取得することの合理性も薄れ、他の相続人から不満がでてきます。

このような状況に拍車をかけたのがインターネットの普及だと思います。
インターネットが普及する以前は、そもそも相続人にどのような権利があり、どのように権利を実現する手続きがあるのか、ということは法律の専門家等に聞かなければ知ることは困難でした。ところが、インターネットの普及により、相続に関する知識は、PCやスマートフォンで容易に入手できるようになりました。特に大きいのは、相続に不満を持つ相続人が、自分と同じ悩み・不満を有する人が存在するという事実を知るようになったことだと思います。

その結果、相続に不満のある相続人は積極的に自分の権利を行使するようになり相続案件が増加していると思われます。

一言でいえば、相続人が自分の権利を正しく認識したため、権利を行使するようになったということですか?

そのとおりです。

でも、相続人が自分の権利を正しく認識するようになったのであれば、全員が法的に正しい権利主張をするので紛争にならないのではないでしょうか?

確かに、ご指摘のとおりですね。私も相続人全員が正しく相続を理解して欲しいといつも思っています。
もっとも、現実は違います。相続に関する理解度は、同じ相続人でも立場によって全く異なります。

どういうことですか?

端的に言えば、長男が理解している相続は依然として実質的家督相続であり、長男以外の相続人が理解する相続は均分相続(法定相続分)ということです。
現時点で相続人となる方の親世代の多くは家督相続的な意識・長男を優遇するという意識を持つ方が多く、このような価値観で相続人に接しているため、長男である相続人は同様の価値観を持つ方が多くなります。他方、長男以外の相続人は、親元から離れて自立して生活をするなかで親とは別の価値観を有する方も多く出てきます。この結果、長男=家督相続的、その他の相続人=法定相続的な発想になることが多くみられます。このような点が近年相続紛争が増加している原因ではなかいと考えております。

少し質問を変えますが、現在受任している相続案件の種類はどのようなものが多いのでしょうか?

現在、受任している相続案件のうち、8割前後が遺産分割・遺留分の紛争案件です。一般的に相続の紛争案件は、遺産分割・遺留分の問題が多くの割合を占めるため、当事務所でも同様の傾向にあると思います。

遺産分割・遺留分の紛争案件を依頼する方に、地域的な傾向はありますか?

遺産分割・遺留分に関しては、事務所があるさいたま市(浦和)と越谷市及びそれぞれに隣接する市町村の方からの依頼がほとんどですので、明確に地域的な傾向があります。

相続案件は、相談者の方が日常生活・仕事をしながら、対応時間をなんとか捻出する場合が多いため、近場の弁護士に相談したいという傾向があるようです。また、余程特殊な遺産分割・遺留分の案件でなければ、相続に特化している弁護士でなくとも現状対応している状況にあるため、近場で依頼する弁護士を探すことも可能であるということが、上記の傾向を支持しているのではないでしょか。

実際に、弊所の場合、受任中の依頼者から「事務所近くに買い物にいくのでついでに資料をもっていきます。」、「事務所近くに用事があって出かけるので、その前後で少し相談をしたい。」というお話が多くありますので、単純ですが、依頼した弁護士の事務所が近くにあるということは大事だと思います。

遺産分割・遺留分の外に特徴的な案件はありますか?

最近、増加している案件としては、認知症の方が遺言を作成していたということで、遺言無効主張をする案件が増加しています。遺言無効案件に取り組み始めた平成25年頃は、1~2件程度でしたが、現時点(令和2年8月)では、弊所の進行中の案件の2割近くが遺言無効主張をする案件になっています。

遺言無効主張をする案件は、遺産分割・遺留分ほどには一般的な案件ではないため、地理的な傾向はなく、東京、埼玉、千葉の方からのご依頼があります。問合せ・相談は全国からありますが、実際に案件として進める場合、対応コストや時間の捻出の問題があるので、近場の弁護士への相談をお勧めすることが多いです。

いまご紹介いただいた遺産分割、遺留分、遺言無効という案件以外で、弁護士法人Boleroの相続案件に対する特徴的な取り組みはありますか?

業務の特徴としては、非紛争案件である相続手続・遺産整理業務に力をいれているという点があります。

どうしても弁護士=裁判(紛争案件)というイメージが強いのですが、相続手続・遺産整理は書類の準備が煩雑で預貯金・不動産ごとに手続をする必要があるため、事務処理の負担がかなり重くなります。この負担がネックで手続が頓挫して相続人間で軋轢が生じるようなケースもあります。

弊所は、相続案件に特化しつつ、相続案件であれば幅広く対応することを心掛けておりますので、非紛争案件である相続手続・遺産整理の代行も行っております。

また、より広い視点からの相続案件に対する取り組みとしては、相続案件を
①相続開始による「資産承継の実行」
②承継した資産を管理する「資産管理」
③資産を承継させる準備である「資産承継の対策」
の3つのステージで把握し、それぞれのステージに応じて継続的に業務を提供していくことを心掛けております。

相続案件に対する従来の弁護士の関与は、遺言作成や紛争案件に対する対応などピンポイントでの関与がメインとなっておりました。

しかし、相続は、資産承継➡承継した資産の管理➡次世代への資産承継の準備を繰り返すものであることから、ピンポイントの断片的な関与ではなく、上記の相続の流れに沿った継続的な関与をすることで、資産承継時の紛争を予防し、また、安全な資産管理が行うことが可能になります。

このような相続のステージを踏まえて継続的な関与を提案している点が弁護士法人Boleroの相続案件に対する取り組みにおける最も特徴的な点と言えます。

法律事務所というよりもコンサルみたいですね。

そうですね。法律事務所=紛争案件というイメージとは違うかもしれません。
相続対策などの取り組みは、弁護士が相続のコンサルティング業務を行っているというイメージの方が分かりやすいかもしれません。

もともとは、遺産分割や遺留分の紛争案件から相続業務の取扱いを始めたのですが、徐々に相続が発生したけどどう対応してよいか分からないという相談や相続対策の相談、遺産分割・遺留分等のトラブルを解決した後の資産管理の相談を受けることも増えてきました。

そうした相談を受けるなかで、相続問題は揉める・揉めないにかかわらず、いろいろな法律問題で困っているといること、このような問題の適切な受け皿が少ないということに気が付いたわけです。

そこで、弁護士法人Boleroの前身となった南越谷法律事務所の設立時から、相続問題であれば、紛争案件だけでなく、非紛争案件も幅広く手掛けてきました。この方針は弁護士法人Boleroに移行した現在でも変わっておりません。

弁護士法人Boleroは「相続に特化しつつ、相続に関するすべての法律問題に対応する法律事務所」をめざしています。

相続で困ったら何でも相談できると理解すればいいですか?

はい。相続税等の弁護士が扱えない業務は、都度必要な専門家と連携して処理しますので、どのような相談でも大丈夫です。

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5、相続に関する取扱業務について

弁護士法人Boleroの相続に関する業務を紹介してもらえますか?

当事務所では、先ほどもお話したとおり、相続を資産承継の実行、承継した資産の管理、資産承継の対策という3つのステージ分けて把握しておりますので、これらの3つのステージごとに様々な業務を提供しています。

では順番に説明してもらえますか。資産承継の実行に関する業務はどのようなものがあるのでしょうか?

資産承継の実行は、相続が始まり、被相続人の財産を承継する一連の手続に関する業務ですので、皆様がイメージされる相続に近いと思います。

資産承継の実行に際して、意見対立が起こると相続が紛争化することとなり、遺産分割や遺留分のトラブルとなります。これは、弁護士が扱う古典的で最も一般的な相続案件です(遺産分割代理サービス、遺留分侵害額請求代理サービス)。

他方、相続の方針について相続人間の意見が概ね一致している場合は、特に弁護士の援助は必要ないことも多いのですが、相続に関する手続は煩雑で時間をとられることから、揉めていないのになかなか手続が進まないということがあります。また、手続が進まないことで感情的な軋轢が生じて紛争化してしまうこともあります。このような場合には、相続手続を弁護士に依頼して進めるという方法があります。

一般的には相続手続・遺産整理などと呼ばれており、当事務所でも、相続手続・遺産整理代理サービスを提供しています。紛争案件ほどメジャーな業務ではありませんが、相続手続に不慣れな方や日中仕事で時間が取れない方が相続手続を行うのは負担が重いことから、地味ですが一部の方には喜ばれるサービスです。

また、相続手続・遺産整理代理サービスに関連するものとして、遺産分割コンサルティングという業務があります。

遺産に複数の収益不動産や同族会社の株式が含まれている場合など、遺産の内容や権利関係が複雑な場合、揉めていなくても分け方を決めるのが難しいという場合があります。このような場合には、遺産分割の方針・勘所などを弁護士がアドバイスし、遺産分割協議を円滑に進める出助けをする遺産分割コンサルティングサービスがお役に立てます。紛争の可能性がある場合は、お引き受けできませんので、ご注意いただきたいところです。

その他の業務としては、遺言無効主張する案件に特化した業務(遺言無効.com)や収益不動産の相続案件に特化した業務(収益不動産の相続トラブル.com)などを提供しています。

遺言無効主張する案件は、不当な公正証書遺言が数多く存在するにもかかわらず、公正証書遺言について遺言無効確認請求訴訟を提起することに消極的な実務の現状に問題的をするため、積極的に案件をお引き受けしています。

また、収益不動産の相続トラブルは、一般的な相続トラブルとことなり、複数の法的手続をとる場合や、特殊な論点がでてくることがあるため、「収益不動産」の相続トラブルにテーマを絞り込んで業務を提供しています。

相続トラブル=弁護士というイメージはありましたが、トラブルにもいろいろ種類があるんですね。次の承継した資産の管理に関する業務を紹介してもらえますか?

はい。資産の管理に関する業務は、要するに相続で資産を承継した方が、その資産を管理・運用していくなかで発生する法律問題に対応するということになりますので、その内容は多岐にわたります。

典型的なものとしては、アパート・マンション等の収益不動産の賃料が不払いになった際の明渡しがあります。相続で不動産を承継すると一定割合で賃料不払い案件に遭遇するため、もっとも典型的な業務と言えます。また、明渡し等のトラブルになるような不動産の場合、相続開始前の契約内容や管理方法が明確でなく、相続した方が正確な情報を把握できなくなっている場合があります。このような場合は、トラブルの解決と併せて、契約関係や管理方法を明確化し、資産に関する情報管理の方法を見直すことをおすすめしています。これにより、その後の不動産の管理・運用が楽になってきます。

なるほど。相続って他人が管理していた財産を承継するわけですから、そもそもの管理方法等がよくわからないっていう状況はありそうですね。資産の管理に関しては他にどのような業務があるのでしょうか?

承継した不動産を利用・活用する際の契約交渉のサポートも行っています。

ロードサイドのテナント物件を建設して賃貸する場合等は、投資額が多額になり融資の返済期間も長期に及ぶことから、契約内容は慎重に検討する必要があります。契約内容については、借主側から提示され、借主側の担当者も丁寧に説明してくれることが多いのですが、貸主と借主は交渉当事者ですので、貸主目線で十分に契約内容を吟味することが必要です。このような場面で、弁護士が契約内容についてアドバイスをすることで、適切な契約内容とすることができます。

自分ひとりで契約交渉をするのは不安なので、弁護士のサポートが得られるのは心強いですね。

ありがとうございます。不動産の利用・活用という多額の投資を行う場面で、法律問題までご自分で対応するのは大変ですので、うまく弁護士を利用していたくとよいと思います。資産管理に関する業務は、契約交渉のサポートに限定されるものではありませんので、資産の運用・管理でこまったら相談するというくらいに考えていただくといいかも知れません。

このあたりは紛争案件を扱う弁護士というよりも、相続問題のコンサルという感じが強いですね。では、3つめの業務「資産承継の対策」についてご紹介ください。

「資産承継の対策」は実は弁護士法人Boleroが最もこだわりをもっている業務です。多くの資産承継の相談では、相談時点の資産内容を前提として、承継方法(その多くは遺言の作成)が検討されていますが、弊所では、承継させる資産の絞り込み・組み換え等の前提条件の整備が重要と考え、この前提条件の整備に特に力をいれております。

資産承継の対策として前提条件整備をそこまで重視するのはどうしてでしょうか?

第1の理由としては、資産承継は、資産の客観的な価値、資産を受け取る側の事情を十分に考慮しておかないと、十分に効果を発揮することができないからです。

例えば、土地等の不動産を大規模に所有されている資産家の方に顕著な傾向として、数世代に渡り土地を所有し続けている結果、所有している土地の一部が現在の社会状況では価値を見出しにくい状況になっていることがあります。高齢化の進んだ住宅地の一角にある山林や築年数が経過したアパート・マンション、後継者がいない場合の農地などは相続を視野にいれた場合、そのまま承継させるのが良いか否かを冷静に検証する必要があります。

特にご注意いただきたいのは、相続税対策等として、今所有している土地を無理に利用する必要はないという点です。資産家の方は、所有する土地に対するこだわりが強いため、所有する土地を維持することに固執して事業性に疑問符がつくようなアパート建築を行っているケースがありますが、このような投資は将来の資産承継の足かせになりかねません。事業性に難点がある場合は、固定資産税負担が嵩む前に売却処分して、収益性の良い不動産に組み替えるなどの方法を柔軟に検討した方が実利的です。

第2の理由としては、資産の絞り込み・資産の組み換えといった前提条件の整理は、資産承継の対策という名目がある方がやりやすいということが挙げられます。

第三者には理解しがたい部分かもしれませんが、資産家の方の多くは、代々受け継いできた土地はそう簡単には売却できないという考えを持っています。長年、その地域に根付いて生活してきたことから、土地を売却した際にいろいろと噂になることを嫌う方もいます。

このような方にとって、資産承継の対策で不動産を売却するというのは、最も受け入れやすい理由になります。資産承継の対策として、資産の絞り込み・資産の組み換えが必要であれば、こだわりや噂などに捕らわれずに実行すべきではないかとの意見もあるところですが、やはり当事者が受け入れがたい方法を理屈で押し通そうとしても上手くいきません。

理屈でいえば、前提条件の整理は、資産承継の対策の前段階である、資産管理の段階で継続的に行うことが望ましいのですが、現実には、資産承継の対策の段階で思い切った前提条件整備に着手することが多くなります。

なるほど。いろいろ難しい事情があるんですね。前提条件の整備の資産の絞り込み・資産の組み換えは、事業の選択と集中に似ていますね。前提条件の整備が終わったら、次はどうするのでしょうか?

資産の承継方法を決定します。

資産の承継方法は遺言や生前贈与が一般的ですが、これら以外にも多様な資産の承継方法がありますので、資産全体の内容・個々の資産の性質を考慮して、承継時期・方法を検討することになります。

このような資産承継の方法は、遺言で全財産を一括して処分する方法に比べると複雑ですが、より資産内容に即した承継方法をとることができる点で優れています。そして、前提条件の整理が適切に行われていれば、資産の承継方法は比較的スムーズに選択できます。逆に、資産の承継方法の選択で難航する場合は、前提条件の整備が十分に行われているかを再度確認する必要があります。

資産の承継方法の選択について注意しておく点はありますか?

遺言は撤回・変更が自由に行えるため、資産承継の方法としては不確実性が高いという点は注意して欲しいと思います。

前提条件の整理を行い、合理的な資産承継方法を定めた遺言を作成しても、相続開始直前に別の遺言が作成されてしまうと全てが台無しになってしまいます。もちろん、本人の真意に基づき新たな遺言が作成されたのであれば仕方のないことですが、認知症等で判断能力が減退した方に一部相続人が働きかけて別の遺言を作成するケースもあり注意を要します。

遺言を作成しても安心ではないのですね。
弁護士法人Boleroの相続に関する業務を「資産承継の実行」➡「承継した資産の管理」➡「資産承継の対策」というサイクルに沿って説明していただきましたが、このインタビューをご覧になっている方にメッセージをお願いします。

相続の問題は誰にでも発生する可能性がある一般的な問題ですが、相続人間の関係、法務・税務の問題、複数の裁判手続が交錯する場面、不動産の処理など多くの問題が潜んでいます。

そして、このような相続問題を円滑に処理するには、初期段階で案件全体の枠組みを見通しておく必要があります(この点をおろそかにすると、問題をより複雑にしてしまいます)。

相続問題を複雑にしないためにも、早めに弁護士に相談することをお勧めします。

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6、不動産取引について

不動産取引を取扱い業務にしている理由を教えてください。

不動産取引は、取引の対象になる不動産の価値が一般的に高額でリスクが高い割には、今まで弁護士が関与することが少なかったということが当事務所が不動産取引を取扱い業務にしている理由です。

法律事務所のホームページを見る限り、不動産取引を取扱い業務としている法律事務所は多いように感じますが。

確かに不動産取引を扱う法律事務所は多いと思います。しかし、世間一般で行われている不動産取引全体を基準にすると弁護士が関わっている部分というのは非常に限られています。例えば、一般の方が不動産に関して弁護士に依頼する場合というのは、土地・建物の明渡し、未払賃料の回収などですが、不動産取引は、こういった紛争案件以外にも、所有する土地建物の売買、賃貸借契約の締結、共有関係の解消等多様な取引が存在します。

不動産取引の大半は紛争案件ではないため、弁護士に相談をすることではないとの誤解をされている方もいらっしゃいますが、紛争案件以外にも弁護士が関与する意味はあります。例えば、土地を売却する際、契約書は仲介業者が作成しますが、弁護士が代理人であれば契約書の内容をかみ砕いてお客様に説明することができます。また、契約内容についても、お客様の希望を法律的に無理のない内容で反映させることができます。

不動産取引において紛争が発生する割合は高くないと思われますが、一般的に取引金額が高額であることもあり、紛争になった場合は深刻な問題になりやすい傾向があります。弁護士が不動産売買契約や賃貸借契約に代理人として関与することによりこのようなリスクを回避し、不動産取引を安全に行うことができます。

不動産取引を取扱い業務とする法律事務所はたくさんありますが、不動産取引全体に対して十分なサービスを提供している法律事務所は多くないと思います。

不動産取引関して弁護士法人Boleroが提供しているサービスを紹介してもらえますか?

当事務所では、不動産取引に関して、不動産現状診断サービス、契約交渉代理サービス、不動産管理(明渡し・未払賃料回収)代理サービス、権利関係調整・整理代理サービスを提供しております。

不動産現状診断サービスとはどんなサービスでしょうか?

特定の不動産の権利関係を調査し、その権利関係の法律的な意味・リスク等をお客様に書面(報告書)で報告するサービスです。

不動産現状診断サービスという業務は比較的珍しいように感じるのですが、このサービスを始めた切っ掛けを教えていただけますか?

お客様からのご要望が切っ掛けです。ある不動産の紛争案件で事件処理の方向性を決めるために打ち合わせをした際、お客様に不動産に関する資料を確認しながら不動産の権利関係等を説明しました。この時、お客さまから不動産の権利関係を書面でまとめて欲しいとのご要望がありました。

そこで、ご要望に応じて報告書を作成したのですが、後日、紛争になっている訳ではないが、別の不動産について同じような報告書を作成してほしいとの依頼をうけました。私としては、気軽に引き受けましたが、お客様は、紛争案件でもないのに報告書の作成だけを依頼していいのだろうか、と迷われたとのことでした。

不動産現状診断サービスと同様の業務は、依頼されればほとんどの弁護士が引き受けると思われます。しかし、弁護士がそのような業務を取扱うことを知らないお客様がたくさんいらっしゃるのではないかと考えて不動産現状診断サービスを提供することにいたしました。

契約交渉代理サービスとはどんなサービスでしょうか?

不動産を売却する際の一切の交渉を弁護士が代理するサービスです。

不動産を売買するということは不動産業を行っている方でもない限り、一生に数回ではないでしょうか。しかも、売買代金は非常に高額です。その割には、不動産の売買、特に一般の方が当事者の場合、弁護士が関与しているケースが少ないと思います。弁護士が関与する割合が低い理由としては、通常の取引は宅地建物取引主任者が仲介をするため権利関係が単純な不動産の取引であれば問題なく行えるということがあるようです。

しかし、不動産に抵当権が複数設定されている、不動産が共有になっている等の場合、権利関係をどのように調整し、契約当事者のリスクを減少させるために交渉し、その結果を契約書に反映させるには、売主と買主両者を仲介するという立場の仲介業者では立場上困難な面があります。このような場合は、当事者の代理人である弁護士が適任です。

不動産取引は価格が高いためそれに応じてリスクも高くなります。一生に数回しかない不動産取引でトラブルに巻き込まれないよう、ぜひ一般の消費者の方にこのサービスを利用していただきたいと思います。

一般の方には、自分の取引が契約交渉代理サービスの対象になるかどうかを判断することが難しいのではないでしょうか?「こんなこと弁護士に相談していいのかな?」と不安に思う方もいると思いますよ。

「弁護士に相談していいのかな?」と思うようなことがあるということは、弁護士に相談する必要があるということです。弁護士に相談したから必ず依頼しなくてはいけないということはありません。実際に法律相談を行い、代理人として受任する必要があるかどうかということを含めて弁護士が判断します。遠慮なく無料法律相談をご利用ください。

不動産管理(明渡し・未払賃料回収)代理サービスとはどんなサービスでしょうか?

不動産管理代理サービスとは、所有者に代わって、不動産の明渡し、未払賃料の回収等の管理業務を行うサービスです。通常、明渡し、賃料の受領等の管理業務は不動産管理会社に委託されているので不動産管理代理サービスは、既に紛争になっている又は紛争になることが予想される場合を想定しています。また、紛争を予防するために賃貸借契約書の見直しなども行います。

複数の不動産を所有する資産家の方・不動産管理会社向けの顧問契約も提供しております。

権利関係調整・整理代理サービスとはどんなサービスでしょうか?

権利関係調整・整理代理サービスとは、お客様が所有る不動産の権利関係を調整・整理して、資産価値を高めるサービスです。

例えば、どのようなケースでこのサービスを利用することが多いのでしょうか?

典型的な例としては、過去に借金をした際に設定した抵当権が借金完済後も抹消登記がされないまま残存しており、いざ抹消の登記手続をしようしたら抵当権者に相続が発生していて相続人が抵当権の抹消に応じてくれないケース、相続により共有にした不動産の共有関係を解消する、何十年も前から続いている土地賃貸借を解消して土地を返還してもらう又はその土地を賃借人に買ってもらうなどの底地の整理等があります。

不動産に関する問題は多岐にわたるので、当事務所の他のサービスに当てはまらない問題は権利関係調整・整理代理サービスに該当すると考えてください。

不動産取引に関するサービス全体の印象として、紛争や裁判になっていない事柄に関する業務が多いように思うのですが。

そのとおりです。不動産取引は、価格が高いのでいったん紛争になると、そのリスクも大きいものとなってしまいます。そこで、当事務所では、紛争の解決だけではなく、紛争を予防するサービスにも力を入れています。

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7、債務整理について

債務整理を取り扱い業務にしている理由を教えてください。

借金の問題は非常に深刻だからです。

借金の問題を弁護士に相談する方のうち、かなり多くの方が借金が原因で家族関係が悪くなっていたり、離婚の危機を抱えていたり、精神安定剤を服用していたり、という問題を抱えています。親族・知人に連帯保証人・物上保証人になっているケースでは、関係が断絶してしまうケースも多々あります。

しかし、これらの借金の問題の大半は弁護士が代理人として関与し、法律の手続を踏めば解決できるものです。弁護士が関与すれば適切な解決が可能であるにもかかわらず、一般の方に借金の問題に対する対処の仕方が正しく伝わっていないために、問題への対応が遅れて問題が深刻化しているケースが多いように感じます。

当事務所は、借金の問題を抱える方の問題が深刻化する前に対処し、生活を再建するお手伝いをするために債務整理を取り扱い業務にしております。

借金の問題は早期に対処することが重要です。弁護士に相談するべきかどうかに悩んだ時は、相談の必要がある時です。遠慮なく無料法律相談をご利用下さい。

債務整理に関して弁護士法人Boleroが用意しているサービスを教えてください。

当事務所は、債務整理に関して、過払金返還請求、小規模個人再生手続、破産(免責)申立、連帯保証・物上保証に関する問題への対策をサービスとして提供しています。

これらのサービスでは、弁護士が代理人に就任したということを債権者に通知するため、これ以降債権者からの連絡は全て弁護士になされます。債権者がお客様へ直接連絡することはありません。

過払金返還請求とはどんなサービスですか?

過払金返還請求は、借入金に関する過去の弁済を利息制限法所定の利率に引き直して計算をし、利息を支払い過ぎている場合、その支払過ぎの分を取り返す手続です。どのような場合に支払い過ぎになっているかは、取引期間、取引の頻度、取引額などによって決まります。正確な金額については、業者から取引履歴を開示させた上で、利息制限法に基づき計算し直すことが必要ですが、弁護士と面談することで大まかな見通しをつけることはできます。遠慮なく無料法律相談をご利用ください。

小規模個人再生手続とはどんなサービスでしょうか?

小規模個人再生手続とは、裁判所の関与のもと、借金を一定の金額までカットして、残額を分割で支払う手続です。小規模個人再生手続は、最低でもこの金額は返済してくださいという金額が定められており(最低弁済金額)、具体的には、100万円、借金の額の5分の1、清算価値(資産を全て換金した場合の金額)のうち、最も大きい金額が最低弁済金額になります。

小規模個人再生手続のメリットは、利息制限法で債務を圧縮することができるのが、違法な利息の部分であるのに対し、小規模個人再生手続は、違法な利息部分に限らず、元本までカットできるのが特徴です。

どんな方が小規模個人再生手続を利用するのでしょうか?

まず、安定した収入があることが大前提になりますので、会社員など毎月の収入に変動が少ない方が利用することが多いです。次に、小規模個人再生手続を利用する方の殆どは、住宅ローンの支払を継続し自宅を確保しつつ、他の借入金の返済額を減額するという住宅ローン条項を利用することを目的としているという特徴があります。これは、自宅を残すことに拘らないのであれば、原則借金の支払い義務がなくなる破産を選択した方が生活再建には有効であるという理由があります。

破産(免責)申立とはどんな手続ですか?

破産(免責)申立とは、裁判所の監督の下、破産を申し立てた方(破産者といいます)の資産を金銭に換えて債権者に支払い、残債の支払義務を免除してもらう手続です。

破産というと全ての資産を処分され、日常生活もままならなくなるのではないか、と誤解している方もいらっしゃいますが、実際は違います。破産手続においても、日常生活に必要な家具などは処分されませんし、当面の生活に必要な預貯金等も一定額まで手元に残すことができるなど(自由財産拡張)破産者の生活再建に配慮した制度が用意されています。

最も避けていただきたいのは、保険を解約し、預貯金を使い果たすなど、手元の資産殆ど債権者への返済に当ててから破産の相談をするという事態です。こうなってしまうと、破産(免責)申立をして、裁判所の決定を受けた後の経済的更生が困難になってしまいます。ある程度の余裕をもって破産(免責)申立をして借金を整理することがその後の生活再建には重要です。

借金問題への対処で早すぎることはありません。遠慮なく無料法律相談をご利用ください。

連帯保証人・物上保証(担保)問題への対策とはどのようなサービスでしょうか?

連帯保証・物上保証をした方が不幸にして債権者から請求を受けた場合、弁護士が代理として債権者に対応するサービスです。

連帯保証人・物上保証人として債権者から請求を受けた場合、その請求内容の法的な意味を正確に理解することは一般の方には容易ではありません。また、連帯保証人・物上保証人の方は、分割払い・遅延損害金の減免など弁済条件の交渉、支払原資を捻出するための不動産の処分など様々な問題に対処することも必要になります。

このような問題に一般の方がご自身で対処しようとすると、法的知識が十分でないこともあり、知識・情報で勝る債権者のペースで交渉が進み、連帯保証人・物上保証人の方にとって不利益な内容で処理がされるということがあります。

不利な内容で処理がされてからでは手遅れです。連帯保証人・物上保証人として請求を受けた又は請求が予想されるという方は、遠慮なく無料法律相談をご利用ください。

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8、会社の再生・承継・倒産について

会社の再生・承継・倒産を取扱い業務にしている理由を教えてください。

当事務所が会社の再生・承継・倒産を取扱い業務にしているのは、これらの問題が会社の経営者はもとより、従業員、取引先に重大な影響を与えることから、弁護士が積極的に関与すべき分野だと考えているからです。

会社が倒産するということは、会社の経営者はもちろん、その従業員も職を失うことになります。私は、いままで債務整理や刑事事件を何件も担当してきました。そのなかで、会社の倒産、解雇が原因で借金をした、犯罪を起こしたという事案に多く接し、会社の倒産・解雇という問題は、その関係者の生活に重大な影響をもたらすんだということを嫌という程見てきました。

そうだとすれば、会社を再生させることで倒産・解雇を回避して職場を確保すれば、借金で苦しむ方や犯罪を起こす方が少しでも減らせるのではないかというのが、当事務所が会社の再生・承継に取り組む理由です。

また、不幸にして会社が再生できないというケースもあります。そのような場合も弁護士が破産・特別清算を申し立てることにより、会社の経営者、労働者を始め会社の利害関係人の権利を最低限護ることができることから、倒産手続にも取り組んでいます。

いまのお話からすると、会社の再生という業務には、労働者を保護するという意味があるということですが、私は、労働者保護は労働事件等で労働者側として代理人をするということが主流だと思うのですが。

労働者側として代理人をすることが労働者保護の主流だといわれればその通りだと思います。ただ、私が実務を行っている感覚からすると、世間でニュースになるような労働者対会社側という構図が成立する労働事件というのは、上場企業などほんの一握りの会社だけであり、地方の零細・中小企業にそのままは当てはまらないと思っています。

地方の零細・中小企業では、売上減少・資金繰り悪化などにより会社の存続自体が危ぶまれているケースが多いにもかかわらず、ここに単純に労働者対会社という図式を持ち込んでみても会社の経営を更に悪化させ、最悪の事態としては、会社が倒産して職場自体が無くなってしまうということになりかねません。

個々の労働者の権利を擁護することが重要であることはもちろんですが、事業を再生させてそこで働く従業員の生活を護ることも労働者保護に貢献することができると考えます。

会社の再生と倒産の関係は分かるのですが、同じサービスに会社の承継が含まれているのはどうしてですか?

会社の承継に失敗すれば、中長期的にみて、経営が悪化して会社の再生が必要になってしまうからです。会社の再生をする必要がないのが一番ですから、会社再生の予防措置との位置付けで会社の承継も業務としております。

また、会社の再生と承継を関連付けるのは、会社再生は事業承継に踏み切るタイミングとして相応しいという事情もあります。

会社の再生は、大まかに言えば、不要な資産・事業を整理し、過剰な負債を処理することにより、収益性のある事業を確保する作業です。そうすると、会社が再生した状態というのは、実は会社を後継者に承継させるのにも適した状態になっているのです。

もちろん、会社を承継させるには、他の事情も検討する必要があるのですが、会社の再生とリンクさせることでより合理的な会社の承継が可能になります。

会社が将来に向けて事業を継続していくということから考えると会社の再生と承継は強く結びついているというのが、会社の再生と承継を同じサービスに含めた理由です。

会社といっても上場企業から家族経営のような会社まで様々ですが、どのような規模の会社を対象にしているのでしょうか?

従業員数名の家族経営の会社から従業員100名程度の非上場会社を想定しています。

どうしてですか?

今申し上げた規模の会社の多くが再生を必要としているにも関わらず、これらの会社を対象にした会社再生に関する業務が十分に供給されていないからです。

もし、上場企業から依頼がきたらどうされますか?

ないとは思いますが、お断りいたします。上場企業や上記の規模を超える非上場企業のお客様は、東京などの大規模法律事務所が提供するサービスをご利用されたらよろしいかと思います。当事務所の会社再生業務は、あくまで零細・従業員100名程度までの中小企業の皆様を対象としておりますので、この範囲外の規模の案件は残念ですがお請けできません。

会社の再生・承継・倒産に関して弁護士法人Boleroが用意しているサービスを紹介してもらえますか?

当事務所が会社の再生・承継・倒産に関して用意しているサービスとしては、会社の現状診断サービス、裁判外の再生に関するサービス、裁判手続による再生があります。

会社の現状診断サービスとはどのようなサービスですか?

会社の事業の状況、資産・負債の内容等を調査し、調査結果に基づいて会社の状況、特に再生の可否などを診断するサービスです。

このサービスで行う調査は、会社再生の際に行うことになるのですが、調査だけを個別に依頼したいという要望があったため、独立したサービスとして設定することにしました。

裁判外のサービスとしてはどのようなサービスがありますか?

リスケジュール交渉(銀行交渉)代理サービス、不要資産整理・不採算事業整理、事業譲渡・会社分割による再生手続があります。

リスケジュール交渉(銀行交渉)代理サービスとはどのようなサービスですか?

金融機関と借入金の返済条件を変更するための交渉を会社に代理して行うサービスです。

会社の資金繰りが厳しくなってくると、経営者は金融機関への対応で頭がいっぱいになってしまいます。そのため、限られた時間と体力の多くを金融機関への対応に費やすことになってしまいます。 しかし、資金繰りが厳しい会社のほとんどは事業が上手くいっていない状況にありますので、本来は、経営者が事業の立て直しに時間と体力を割くべきであり、上記のような対応は、「資金繰り悪化→金融機関対応→事業の状況が悪化→更に資金繰り悪化」という悪循環に陥る可能性があります。

リスケジュール交渉(銀行交渉)代理サービスをご利用いただけば、金融機関の対応は弁護士が代理人として経営者に代わって行いますので、原則、金融機関から経営者に直接連絡がなされることはありません。この間に経営者の方は、事業の立て直しに時間と体力を集中することができます。

リスケジュール交渉(銀行交渉)代理サービスは、一言で言えば、経営者の時間と体力を有効利用するためのサービスです。

不要資産整理・不採算事業整理はどのようなサービスですか?

不要資産整理・不採算事業整理とは、会社経営上必要性が低い資産を処分し、また、不採算事業を整理して会社の財務状況を改善するサービスです。

不要資産の売却を考えているものの、権利関係が複雑なため処分がなされないままになっているケースなどにおいて、弁護士が利害関係人と交渉する・訴訟を行うなどして権利関係を整理して資産の処分を実現します。

また、不採算事業の契約関係の整理、資産の処分などを弁護士が代理し、可能な限り紛争にならないように処理をいたします。

事業譲渡・会社分割による再生手続とはどのようなサービスですか?

事業譲渡・会社分割による再生手続とは、会社の事業のうち収益性のある部分を他の収益性の低い事業と切り離して、他の会社に譲渡するなどして会社を再生させる手続です。

事業を別の会社に移すことになるので、従業員、取引先、金融機関等との調整等に手間のかかる大がかりな手続になりますが、事業と過剰な債務を切り離すことができますので会社の再生には効果的です。

また、民事再生手続を申し立てた場合、倒産というレッテルを張られ、取引を打ち切られるといったことが多々ありますが、事業譲渡・会社分割による再生手続は裁判外で行われるため、このような弊害が生じにくいというメリットがあります。個人的には、零細・中小企業の再生の場合、民事再生手続よりも事業譲渡・会社分割による再生手続の方が使い勝手がいいと思います。

裁判所を利用する手続としてはどのようなサービスがありますか?

民事再生手続申立て、破産・特別清算の申立てがあります。

このうち、民事再生手続は、裁判所の関与のもと会社の再生を行う手続です。この手続は、裁判外の手続と異なり、取引先等に民事再生手続の申立てをしたことが知られてしまい「倒産」とのレッテルを張られるというデメリットがありますので、民事再生手続について主要取引先の内諾が得られているなどの必要があると思われます。

他方で、民事再生手続は、再生計画を多数決で可決できるため、一部債権者の反対があり裁判外の再生手続を利用が困難であるが、過半数の債権者の了解を取り付けることはできるというケースでは有効な再生手法となりえます。

民事再生手続は、零細・中小企業が利用するには、ハードルが高い手続ですが、条件を満たせば裁判所のお墨付きを得られるわけですので会社の再生に有効な手続です。

破産・特別清算は、会社の再生が困難な場合に裁判所の監督のもとに清算を行う手続です。破産手続では、裁判所により破産管財人が選任され清算手続を行いますが、特別清算手続ではこの手続を申し立てた会社(及びその代理人)が主体となり清算手続を行うという違いがあります。

破産・特別清算は、事業が消滅してしまうという意味では社会的な損失や経営者・労働者の職場が失われるという不利益が生じてしまいますが、法律にしたがって清算がなされることで労働者をはじめとした利害関係人の利益が最低限保護されることになります。

また、会社が破産手続を申し立てる際には、通常、代表者も破産手続を申し立てることになりますが、代表者個人の破産手続には、生活再建という意味合いがあることも念頭においてください。

個人の破産手続では、自由財産拡張という制度を利用して一定額の資産を手元に残すことができます。なかには、中小企業小規模共済や保険をすべて解約し、年金担保貸付まで利用して会社の資金繰りにつぎ込んでから相談にこられるケースもあります。ここまでの状況になっていると会社の再生は困難であり、倒産の時期を先延ばしにしているに過ぎません。そして、保険を解約し、年金担保貸付を利用すするなどの延命措置をしているうちに破産後の生活再建のための資産がなくなってしまうという事態になってしまいます。

会社の存続に固執せず、ある程度のところで見切りをつけることも、生活を再建するためには必要です。

会社の再生・承継・倒産に関していろいろとサービスが用意されていることは分かりましたが、利用する側としてはこれらのサービスをどうやって選んでいいかわからないと思うのですが。

どのサービスが適切かは、法律相談又は必要に応じて会社の現状診断サービスをご利用いただいた上で弁護士が判断いたします。お客様がどのサービスを利用すればいいかということで悩む必要はありません。遠慮なく無料法律相談をご利用ください。

この記事を書いた人 弁護士小池智康

弁護士法人 Bolero 代表弁護士:平成19年弁護士登録
2012 年6月1日、南越谷法律事務所を設立し、2018 年9月3日に同事務所を現在の弁護士法人 Bolero に移行しました。
2012 年の事務所開設以来、相続業務に特化し、遺産分割・遺留分トラブルを数多く取り扱っており、近年は、財産関係が複雑な相続事件や遺言無効確認請求事件等の取扱いが増えております。
相続では、遺産の詳細が分からないことが多いため、丁寧な遺産調査を心がけております。